ダシャーとは?一覧の前に押さえたい基本
ダシャーとは、生まれてからの人生を惑星ごとの期間に割り振り、「今はどの惑星が人生の主導権を持っている時期か」を読み解く考え方です。
西洋占星術がトランジット(星の運行)を中心に「今どんな流れか」を見るのに対し、ジョーティッシュはこのダシャーという時期論を軸に据えているのが大きな特徴だと言われています。
数あるダシャーの計算法の中でも、実務でもっとも使われているのが今回扱う「ヴィムショッタリ・ダシャー」です。
ダシャー全体の考え方や、ジョーティッシュという体系そのものについては、以下の記事でより丁寧に解説しています。
【関連記事】インド占星術とは?ダシャーで「時期を読む」3000年の体系
【一覧表】ヴィムショッタリ・ダシャー9惑星の順番と年数

ヴィムショッタリ・ダシャーは、太陽・月・火星・ラーフ・木星・土星・水星・ケートゥ・金星の9惑星が決まった順番で巡り、合計120年で1周期となる体系です。
実際に自分がどの惑星から人生をスタートするかは、生まれた瞬間の月の位置によって決まるため、開始する惑星や最初の期間の長さは人によって異なります。
まずは、9惑星それぞれの年数を一覧で見てみましょう。
| 順番 | 惑星(グラハ) | 年数 |
|---|---|---|
| 1 | 太陽(スーリヤ) | 6年 |
| 2 | 月(チャンドラ) | 10年 |
| 3 | 火星(マンガル) | 7年 |
| 4 | ラーフ | 18年 |
| 5 | 木星(グル) | 16年 |
| 6 | 土星(シャニ) | 19年 |
| 7 | 水星(ブダ) | 17年 |
| 8 | ケートゥ | 7年 |
| 9 | 金星(シュクラ) | 20年 |
合計すると6+10+7+18+16+19+17+7+20で、ちょうど120年になります。
これは古典の中で「人が全うしうる寿命」とされた年数に由来すると言われており、ラーフとケートゥという実体を持たない感応点(西洋占星術のノードに近い存在)も含めて計算する点が、インド占星術ならではの特徴です。
ラーフ・ケートゥの位置づけについては、こちらでより詳しく解説しています。
【関連記事】ラーフ・ケートゥの意味と悪い影響|本当に不運の星?
拓海初めてこの表を見たとき、正直「なぜこの順番・この年数なのか」がピンと来ませんでした。
でも3000年近く使われ続けている体系だと知って、まずは統計的に積み上げられた地図として素直に受け取ってみることにしたんです。
マハダシャーとアンタルダシャーの違い


上の表にある9惑星の期間は、正確には「マハダシャー」と呼ばれる大きな時期区分です。
ただし実際の鑑定では、このマハダシャーの中をさらに9惑星で細分化した「アンタルダシャー」という小さな時期区分を重ねて読みます。
例えば「木星のマハダシャーの中の、土星のアンタルダシャー」というように、2つの惑星の組み合わせで、より具体的な出来事の時期を絞り込んでいくイメージです。
転機が訪れやすいタイミングは、マハダシャーが切り替わる瞬間だけでなく、このアンタルダシャーの変わり目に現れることも多いと言われています。
アンタルダシャーの具体的な読み方は、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】アンタルダシャーの見方|転機を告げる5つのサイン
自分の今のダシャーを調べる3つのステップ


ここまでの一覧表はあくまで「9惑星の順番と年数」であり、自分がどの惑星から始まり、今どこにいるかは出生図(ホロスコープ)を計算しないとわかりません。
ここでは、自分のダシャーを調べるための大まかな流れを3ステップで紹介します。
Step1.正確な出生時間・出生地を確認する
ダシャーの計算は、生まれた瞬間の月の位置を起点にするため、出生時間の正確さが結果を大きく左右します。
母子手帳や出生証明書などで、可能な限り正確な時刻を確認しておきましょう。
出生時間があいまいな場合にどう対処するかは、こちらの記事にまとめています。
【関連記事】ラグナの見方がわからない悩み|出生時間の壁と超え方
Step2.月がどの位置にあるかを算出する
出生時間と出生地から、生まれた瞬間の月の正確な位置(度数)を算出します。
ここで求めた月の位置が細かく27分割された「ナクシャトラ(宿)」のどこに当たるかによって、開始する惑星と最初の期間の長さが決まります。
ナクシャトラそのものの詳しい意味は専門性が高いため、姉妹サイト「宿縁ノート」でじっくり扱っています。気になる方はそちらもあわせてご覧ください。
Step3.計算ツールや専門家に出してもらう
ここまでの計算は手作業で行うと複雑なため、出生図作成ソフトや専門家による鑑定を使うのが現実的です。
自分で大まかな見立てを持っておき、細かい年数や複数のダシャーが重なる時期の解釈は、経験を積んだ鑑定士に確認する、という使い分けをする方も多いようです。



僕は最初、出生時間の記録があいまいで、ラグナ(上昇宮)を確定させるだけでかなり苦労しました。
時間をかけて調べる価値はありましたが、正確に見立てたい場合は早い段階で専門家に頼るのも、遠回りを避ける一つの選択だと感じています。
ダシャー一覧を読むときに気をつけたいこと
惑星ごとの年数だけを見ると、「ラーフ期は18年も続くのか」「土星期は19年で一番長い」など、期間の長さに目が行きがちです。
ただし、同じ惑星のダシャーでも、出生図の中でその惑星がどのハウス(宮)を支配し、どこに位置しているかによって現れ方は大きく変わると言われています。
また、どの惑星を吉星・凶星として重視するかは流派や技法によっても違いがあり、単純に「この惑星の時期=良い・悪い」と一律には言えない点には注意が必要です。
特に土星やラーフのマハダシャーは「試練の時期」と語られることが多いのですが、それは不幸の予告ではなく、慎重に足場を固めるための時期だと私は受け取っています。
それぞれの惑星の具体的な影響については、以下の記事も参考にしてみてください。
【関連記事】インド占星術の土星ダシャーとは?19年の影響と怖くない読み方



キャリアが行き詰まっていた時期、後から振り返るとちょうど厳しめとされる惑星の時期に重なっていました。
当時は「悪い時期」と落ち込みましたが、今思えばあれは基礎を作り直すための期間で、焦らず動き方を変える目安として捉え直せたのが救いでした。
よくある質問
Q. なぜ最初のダシャーの年数は人によって違うのですか?
最初のダシャー(開始期)は、生まれた瞬間に月がそのナクシャトラの中でどこまで進んでいたかによって、残り年数から計算されるためです。
そのため、同じ惑星から始まる人でも、最初の期間の長さは一人ひとり異なります。
Q. マハダシャーとアンタルダシャーは同時に見るのですか?
はい。
実際の鑑定では、大きな時期であるマハダシャーと、その中の小さな時期であるアンタルダシャーを重ねて、2つの惑星の組み合わせで具体的な時期を読むのが一般的です。
Q. 自分のダシャーが「厳しい」とされる惑星だった場合はどうすればいいですか?
厳しいとされる時期であっても、それは決まった不幸を意味するものではなく、慎重さや準備が求められる時期の目安として捉えるのが実用的だと言われています。
不安な場合は一人で抱え込まず、出生図全体を踏まえて専門家に相談してみるのも一つの方法です。
まとめ
ヴィムショッタリ・ダシャーは、太陽・月・火星・ラーフ・木星・土星・水星・ケートゥ・金星の9惑星が合計120年で巡る、ヴェーダ占星術の時期論の中核です。
一覧表の年数はあくまで目安であり、自分がどの惑星のどの位置にいるかは、正確な出生時間をもとにした計算が必要になります。
どの惑星の時期であっても、それは焦らず動くための地図であって、決まった結末ではありません。



僕がダシャーという考え方に救われたのは、「今がどういう時期なのか」を知るだけで、闇雲に焦らずに済んだからです。
この一覧表が、ご自身の時期を知る最初の一歩になれば嬉しく思います。




